不条理な恋でも…【完】
舌が唇を割り口の中に侵入してくる。

口腔を掻き回され、お互いの唾液が混じり合いながらふさがれる口。

どのタイミングで、どうやって息をしたらいいのかわからなかった…

「んはぁ~」

大希さんの唇が離れた瞬間、私は思いっきり息を吸い込む。

お互いを繋ぐ銀糸がだらしなく私の口元に滴った…

大希さんは嬉しそうにそれをペロッと舐め取ってから

そのまま私の唇をまた吸った…

そうやって何度も何度も口腔内を犯される。

酸素が足りず、キスに酔い意識が朦朧と始めた私。

息が上がって他に何も考えられなくなった…

大希さんは唇を離し、そんな私に向かって微笑みながら

「ほのか…

アイシテル…」

煌めくような甘い言葉を空から降らせた。

その言葉が私の胸に浸み込んだ瞬間、涙が零れた…


こんな私、もう誰も愛してくれないと思っていたのに…

もう誰も愛することなんて、できないのではないかと諦めていたのに…

今までの長く辛い時間が終わったと思った。


私はこれから大希さんと生きていく。

眞人への想いが完全に消え去ったわけではない。

まだそれを胸に秘めたままだけど…

でももう一人ぼっちじゃない。

いつかその辛い思いが、懐かしく温かな思い出になるように、

祈るしか私には術がなかった。


「私も…

あいしています」

この人に今まで受けた愛をたくさん返したいと思った。
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