不条理な恋でも…【完】
転んで擦りむいた痛みより、それを見たくない方が勝っていて、

ただ心の中で絶叫し続ける。


イヤ―。イヤ―――――――。

どんなに叫んでも、わめいても手紙が見えなくなることはなかった。

瞼を閉じたのに、それでもその紙はなくならなかった。


眞人がいなくなって長い年月が過ぎた今でも、この夢をたまに見る。

特に、私が大希さんに所にボロボロの状態で転がり込み

そのまましばらく外出できなくなった時…

繰り返し繰り返し見た。


私がこんなのだから突然あの人はいなくなった…

そんな身も心もすり減っていく私を見た大希さんが、

「それは決して君のせいじゃないよ」

と何度も慰めてくれても私は決してそれを受け入れることができなかった。

眞人に違うと言ってもらわなければ信じられない…

でも私にそういうチャンスが訪れることはなかった。


転がり込むほどボロボロになった理由は別だったが、

その事件とこの夢が私を極限まで追い詰め一時期社会から隔絶された世界…

大希さんのマンションの一室で、ただ寝て起きてだけを繰り返した。


眠れば悪夢…

起きても目の前に広がるのは絶望的なリアル。

私はそれからしばらくの間、心療内科に通院した。

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