恋はシャボン玉
飲み友達
藤沢さんお気に入りの店は、お洒落な創作料理店。ちょっと暗めの店内は、ソファー席でゆったりと食事を楽しめるようになっている。



テーブルの上の一輪差しの花、ふんわり浮かぶようなローソクの灯り。



お洒落な藤沢さんが好みそうな店だ。藤沢さんは席に着くなり、こう切り出した。



「もしかして…私を女性だと思いましたか?」



ズキューン!
いきなりの図星!



「いいえっ!僕は…藤沢さんに憧れて…」



「憧れ…?」



「はい!電話応対も素晴らしいですし、見習うべき点が多いと思いまして!」



「………」



ヘンな空気が辺りを包む。ヤバイ!なんか最もそうな理由、ないのか?
頭の中をフル回転させ、理由を考え、口から出た言葉は…



「東京から来て、大阪に知り合いもいませんから…それで…」



すると、藤沢さんは、爽やかな笑顔を覗かせ、こう応えた。



「それならいいんです。私、電話越しの声が女みたいだとよく言われるので…」



そうだよ!オレもまんまと騙されたよ!



「こうやって話すとそうでもないでしょ?」



「ハァ…」



いや、やっぱり若干、女っぽい声だ。


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