恋はシャボン玉
次の店も、いい感じの個室だった。乾杯をするとホロ酔いの藤沢さんが言った。



「私は、気に入った人としか、この店に来ないんです」



「はぁ…そうですか…。気に入っていただけたようで、光栄です」



まぁ、嫌われるよりはいいと思って、笑顔で返事をした。すると、藤沢さんの目が、マジになってオレの視線を捉えた。



「藤沢くん…私に興味、ない?」



声だけ聞いていたら、お姉さんから口説かれているようでドキドキしたけれど…イカンイカン!相手は、男だ!



ヤバい…そっち系の人なのか?どうしよ…。このままお持ち帰りされたら?二度目のヘンな汗。



「ははは。冗談ですよ!冗談!」



ウソだ…。目がマジだったよ…。



「今日は、楽しい時間をありがとうごさいました。もし良ければ、また飲みに行きましょう?ね」


「はい…」



オレの恋はシャボン玉のように壊れたものの、藤沢さんとは月に何回か飲みに行く『飲み友達』になった。



そのたびに、今夜はお持ち帰りされるのではないか?と、ドキドキしながら。



藤沢大作、ホントの恋はまだまだ先になりそうです…。



(おしまい)



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