ここにいるよ
い、痛い…

ふと気付くと歩道に突き飛ばされていた


まばたきをして現状把握しようとすると


「お、俺のせいじゃねぇ…う、うわ〜!!」


そう言って走りながら逃げ出す大川さん



「何で私…ここに」


そういえば、何で私…

ひかれてないの??


さっき、誰かから押されたような……


ま、まさかね……

嫌な予感

頭から離れない


「…し…の…ぶ…?」


辺りを見渡すけどいない

車を見つけると運転手の人が慌てて救急車を呼んでる



何で…救急車…


「!!!」


気付くのに数秒もかからなかった




車の下に下敷きに倒れている彼を見つけたんだ


「し、忍っ!!」

我に返り、彼の元へ駆け寄る



「………」

忍?

何で忍が?

もしかして、さっき突き飛ばされたあの手は……


「しの…」

涙が溢れ鳴咽が混じる


私を助けてくれたの?

嫌だよ…

嫌だよ…

死んじゃ嫌だよ……

目を開けて……

お願いだから………


彼を必死に抱きしめるとヌルッと手の平が温かった


自然に手の平を覗くと彼の血が………


その瞬間、彼を失う恐怖が襲いかかる



「しの…ぶ…」


大好きな顔が一気に血の気がひいてく


「いや…目を開けて…お願い………」




世界で1番幸せなバースデーになるはずだった


マンションに帰って忍の手料理を食べて


プレゼント交換して

最高のバースデーになるはずだったのに…………


サンタさん……

もし、

プレゼントをくれるなら忍を助けて下さい…


私の大事な人なんです…

どうか…

お願いします…

叶えてくれるならもうこの先ずっとプレゼントはいらないから―――




「いや―――――」


動かない彼を抱きしめ声が枯れる程、叫んだ


サンタに届くように
< 235 / 246 >

この作品をシェア

pagetop