シャンゼリゼ
彼との出会い

ピザ




バッグから鍵を出そうとあたふたしていると、ドアの開く音がした。



「─あっ、」

「…」



てっきり相太だと思って笑いかけた顔のまま、固まる。



(誰この人)



部屋間違えた?

ううん、やっぱりここは相太の部屋だ。



「…あの」



声をかけようとすれば、あっさりと横を通り過ぎてすたすたと去ってしまった。



(相太の友達…だよね)



初めて見る顔だけど、この部屋から出て来たんだからきっとそう。



「お邪魔しま―す」



気を取り直してドアを開ける。



「相太?」



遠慮なく廊下を進み、奥にあるリビングに入る。



「…あれ」



いない。



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