シャンゼリゼ




「橋くん!まだ帰らないの?」



一字一字をわざと区切るように、強調して言ってみた。



「……」



シカトときたか、コラ。



「橋くん、相太まだかな~」

「バイトじゃないの」

「うっそ―、浮気相手の所に決まってるじゃん。あれ?もしかして現状はあたしが浮気相手かも」

「かもね」

「やっぱ今日も泊まってくるかな」

「多分ね」



橋くんは、大事なことはちゃんと答えてくれる。



「橋くんと相太ってさ、気が合うの?性格正反対じゃん」

「お互い気使わないからラク」

「え~でも相太って超浮気性なのに?」

「だからそうじゃん、浮気相手にも彼女にも気使わないくらいだからこっちも全く気使わなくていい」



詳しく聞けば、相太は女関係最悪でも友情には誠実らしい。



「だからもし俺が女だったら絶対関わりたくない」



そう断言した彼はまた手元の雑誌に目を落とした。



「あたしも知り合う前に戻ったら絶対関わんないよ」

「へえ」

「相太って良い奴だけどさ、気づいたんだよね。アレは恋人一歩手前でいるのが1番な男だって」

「ふ―ん」



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