桃色初恋、甘口キス
「うみ」

後ろから伸びる腕に、その手に、振り向いた格好で顎を上げられた。

「黄原、ダ、ダメっ……!」

ここ、外なのに。
隣に愛ちゃんいるのに。
他にも生徒、いるのに……!

あたしは半ば強引に、唇を奪われた。

「や、ちょ……」

すぐに離されて、口を開いたところで

「本当だ、うみ、すごく甘い」

と極上の笑顔を浮かべた黄原と目が合った。

「あ、あたしも……。
甘いかなって、思ったよ……?」

恥ずかしいからダメだって怒ろうと思ったのに、その笑顔につい、あたしも本音を漏らしてしまった。

「わ、やっぱりそうなんだぁ」

赤く小さくなるあたしを、黄原も愛ちゃんも笑った。

-END-
< 114 / 115 >

この作品をシェア

pagetop