桃色初恋、甘口キス
愛ちゃんは懸命に考えて、苦しんで、泣いて、痛々しい笑顔を浮かべて。
先輩が困ったようにごめんって頭を下げて。
ひとつの恋が、終わった。

今、愛ちゃんはどんな気持ちでいるんだろう。
なんだかあたしまで気持ちが沈んでしまう。

「……うみ、うみってば」

「ん……?」

「サボろうぜ、部活」

「黄原?」

ぼんやりしていると、黄原に手を引かれた。
あたしは昨日の放課後のように、引っ張られて歩く。

「ね、いきなりサボるって何?
どこ行くの?
手、離して……?」

「だから、離したらお前、逃げるだろって。
朝は桃瀬さんとサボってたじゃん、今度は俺とサボろう。
ちょっと話したいんだ。二人っきりで」
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