右隣の彼

弱っている男には気をつけろ!

「お邪魔します・・・岸田君?」
小さな声で音を立てずにそーっとドアを閉めると靴を脱ぎ
足音を立てずに上がった。

岸田君から応答がないので数歩先のリビングへと足を進めた。
「岸田君?・・・・津田だけど・・・」
リビングの入り口に買い物袋と自分のバッグを置きながら声をかけたが
やはり反応がない。

目の前の背を向けたソファーから寝息の様な音が聞こえた。
「岸田君?」
名前を呼びながらまわりこむと、クッションを抱え込み、眉間にしわを寄せ
少し辛そうな顔の岸田くんが寝ていた。

完全に二日酔いだわこれ・・・
何でこんなになるまで飲んだんだろう。
飲みたかったのは私の方だと思うんだけどね・・・
私は前屈みになって岸田くんの顔をまじまじと見た。

辛そうな顔だけど悔しいかな絵になる男
なんだかムカつく
< 30 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop