二重螺旋の夏の夜
意外にも自分の部屋には桜のものが結構あったようだ。

それらがいきなり忽然となくなってしまったものだから、何となく調子が狂ってしまっている。

少ない荷物だけ持ってこの部屋に来たはずだったのにな。

あぁ、そうだ、夕食も自分で作らなくては。

途中で何か買ってくるんだった。

タオルで顔を拭きながら、冷蔵庫の扉を開いた。

卵、豆腐、烏龍茶、缶ビール2本。

続いて冷凍庫。

冷凍の枝豆。

それから記憶が正しければ、炊飯器に2杯分くらいのご飯。

何とか明日の朝までは食いつなげそうだとわかり、安心してソファの方に向かった。

こんな一人暮らしの日常が、また始まる。

そう、桜がいたことの方が異常だったのだ。
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