矢野さん
「ああ……あのアパレル会社に勤めてる?」


「うん……今日ご飯一緒にどうかなって……。ねぇ、祐子さんも行きませんか?」


 祐子さんは着替え終わると鞄を肩に掛けロッカーをバタンと閉めた。


「二人で行ってきなよ。黒田さん矢野さんにLoveみたいだし。私お邪魔虫になっちゃう」


 そう言うと祐子さんはクスクス笑うと「じゃあね」と言って帰っていった。


 いつも強引なくせに変な所で気を使うんだから……。


 祐子さんが出ていったドアを暫く見つめると、携帯の画面へ視線を移した。

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