青空の下を駆けた日々~小さな約束~
近田君が3塁ベースを周とうとしたとき、相手チームのライトの選手がボールをホームへ向かって投げる。
ファーストでカット。
ファーストの子がカットしたボールを投げるのと、近田君がホームへのまん中の白線を越えたのは、ほぼ同時だった。
まん中の白線を越えたら、もう3塁ベースには戻れない。
後は全力で走るだけ。
「「「いっっけぇぇぇぇぇっ!!」」」
結果は......
「セーフ、セーフッ!」
「やったーー!」
見事に生還した近田君の一番近くにいた私は、思わず首に抱きついた。
「わぁ!先制点だよ、綾花!!」
近田君は急に抱きついた私に驚いていたけれど、すぐににっこり笑ってくれた。
「うんっ、やったね。私もがんばってくるから!」
私も最高の笑顔で答えた。
次のバッターは5番の私。
がんばって絶対和田君をホームに返す。
私はそう心に決めた。