緑の風と小さな光 第1部

旅の道連れ

セレはエルグとルルグを連れて宿に戻る事にした。

道すがら、ルルグはセレが意識を失っている間の事を話してくれた。

「そうだったのか。ルルグが助けてくれなかったら、今頃俺は別人になっていたかもな。ありがとう。」

「いえ、そんな…」

セレに礼を言われて、ルルグは少し照れていた。

「ところで君は何歳?」

ルルグはエルグよりも随分と小さく思えた。

「10歳。」

「知恵が回るからもう少し上かと思ったけど…エルグとは歳が離れているんだな。」

「そうか?俺とルルグは5歳違いだぞ。」

「じゃあ15…?ピアリと同い年か…俺より上だと思ってた。」

「みんなにそう言われるよ。ピアリってあの女の子の事だろ。どうしているかな。」

「黙って出て来たからな…可哀想だったかな。少し急ごう。」

宿に着いたのは夜中だった。

二階への階段を上がる途中で、ピアリが気付いて出て来た。

セレはまず謝ろうと思った。

「ピアリ、すまなかっ…」

パーン!

ピアリの平手打ちが炸裂した。

「……」

セレの左頬が赤くなった。

「痛そう…」

ルルグが呟いた。

「ピアリ、セレの話も聞いてやってくれ。」

エルグが取り成してくれた。
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