緑の風と小さな光 第1部

クソガキ

ウォールは領主の城にいた。魔法使い用の牢の中だ。

セレとの戦闘の後、やはり次の日の午後に目覚めた。

ダメージはセレよりも軽かったが、ウォールは「普通の」魔法使いだ。セレ程の回復力は無い。

ウエスト周りに貼り付けておいた人口の皮膚をペリペリと剥がした。その下からは魔法薬やアイテムが出て来た。

この隠し方を見破られた事は一度も無い。良くできた人口皮膚は本物と見分けがつかない。

回復力を高める軟膏を取り出し、全身に塗った。そしてじっと横になっていた。

その間に、色々と考えた。

まずは反省。

…ランディール家という名門の血を甘く見過ぎた…

古くから強力な魔法使いを生み出している血筋だという事は知っていた。しかし実際に自分の目で、その力を見た事は無かった。

『雷撃』をくらった後で、あんな魔法を使って来るとは…

今まで自分が知っている、ただの「強い魔法使い」とは全く違う。考え方を変えなければ…

そして疑問。

…何であいつはこんな所にいるんだ?奴の顔立ちはロストークの国王に似ている。多分、かなり近い間柄だ…

それが工場で労働?どういう事だ?あいつは何者なんだ…?
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