緑の風と小さな光 第1部
セレとエルグは、それからも工場でしばらく働いていた。

その日も小麦粉の袋を積み上げていた。

「わぁーっ!」

男の叫び声がした。

「何だ?」

見ると、あの機関室の魔法使いが走り回っていた。

「ネズミだ!俺はネズミが大嫌いなんだ!」

大声でわめきながら、走り回るネズミを火の魔法で攻撃していた。

しかし、ことごとく外れて周りの小麦粉や機材に火がついた。

セレがすぐに消し止めたので、大事には至らなかった。

今までのボヤや、機械の破損の原因はこれだった。

「恨みや嫌がらせではなかったんだな。」

それなら何も厄介な事は無い。

単なるネズミの駆除なら、色々と方法はあるだろう。

…結局、この工場と風車小屋をめぐる問題は何も無くなったんだな…と、セレは思った。


そして、ジンとルーチェは2週間後に風車小屋の前で結婚式を挙げる事にした。

急な日程なのは、セレ達がここにいる間に挙式をしたかったからだ。

「2週間後か…何とか間に合うな。」

とセレは言った。

「…間に合う…?まさかイタズラをするんじゃないでしょうね?」

ピアリが言った。

「プレゼントを用意するんだよ。」
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