☃桜舞う頃 夢見頃☃
とんとんとんとん…
さくさく進む料理作業。
ひらひらと桃色のエプロンを揺らしながら
「男子遅いー!」
ただいま、と同じに元気な声。
「学級文庫の入れ替えにかり出されてしまったのだもの。仕方ないわ」
あっさりとした口調で渢香は胡瓜を切る。
「寮生っていわば便利屋よね」
はぁ、と息をついて味噌を煮溶かす彼女に
「溜息つくと幸せ逃げるよ」
はな が微かに笑ってそう言うと、
「あ、きたきた!帰ってきた!」
美弥渼が窓に向かってそう叫ぶ。