絶対に好きじゃナイ!

「す……」


わたしはその言葉を口にしようとして、必死に自分の意地っ張りと戦う。

ずっと、認めまいとしていた気持ち。

すぅっと息を吸った瞬間、ばちりと音がするほど社長とぴったり目があってしまった。


そしてわたしはその勢いのままに、大きな声で叫んでしまった。




「す、好きじゃナイ! 虎鉄のことなんて、絶対、絶対に好きじゃナイ!!!」




口ではそう言ったけどわたしの身体はむずむずと勝手に動いて、我慢できなくなって社長の胸にぎゅっと抱きついた。

力を込めてぎゅーっと抱きつくわたしを、目を丸くした社長がケラケラと笑ってから強く抱き返してくれる。



「ったく、言ってることとやってることが全然違うぞ」


そして少しゴツゴツとしたわたしの大好きな指でわたしの髪をなでると、そのまま頬をなぞってそっと顔を上げさせた。


熱く揺らぐ社長の瞳が、優しくわたしを包み込んでくれる。

わたしは息を止めて、まっすぐにその瞳を見上げていた。
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