絶対に好きじゃナイ!

period3:完売済小猫








『ね!お願い、梨子! いてくれるだけでいいから!』

「……わかった」

『やったあ! さすが梨子! じゃあよろしくね、待ってるから!』


そう言ってわたしの気が変わらないうちにと、さっさと電話を切ってしまった。


今日は少しはやめに仕事も片付いて、もう帰ろうかと思ってたところ。

みんなにあいさつをして、ちょうどデスクを離れたとき携帯に電話がかかってきた。

相手は短大時代の友だちで、恋人探しに躍起になっていたわたしのためによく合コンをセッティングしてくれた友だちなんだけど……



たった今出てきたばかりのオフィスをちらりと覗いた。

いちばん奥のデスクで、もくもくとお仕事をしてる我が社の社長。
今日は設計のお仕事が立て込んでるから遅くまで残業確定だって、同期の松丸くんが密かに嘆いてた。

わたしは設計のことは全然わからないから、お手伝いできることもない。


オフィスでの社長は薄茶色の瞳に強い眼差しをたたえて、もともとお顔が端正なだけにとっても精悍な顔つきになる。
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