ショコラノアール~運命の恋~
「やっぱりってどういうわけ?」

彼女は、

笑われたのが嫌だったみたいで、

腕組みをしてプッと頬を膨らませた。

「しのちゃんが宮君のマドンナだったってことさ」


「マドンナって、歌手だよね?」


俺に本気でわからないって顔で振って来たので、


「いや、多分そっちじゃないと思う。」


と、言うと、


「もう、またおじさんネタ?」


「だからさ、宮君いつもろくに酒も飲んでないくせに、

 見たことのない女の子の話しペラペラしてさ、

 話してる話がどうも、

 しのちゃんみたいな気はしてたんだけど、

 絶対名前明かさないから、

 いまひとつ確証得られなくて。」


「え?ほんと?」

「うん、ほんと」


「ヤダ、じゃあ、この間言ってた常連の人の話って、もしかして?」


「うん宮君の話」

「え、私確か、結構ひどいこと言ったような?」


あわてて口を押さえて真っ赤になる。


楡さんはくすくす笑いながら、


「大丈夫言わないから」


「ほんとに?ほんと?」


うんうん、と言いながらよしよしと彼女の髪をなでる仕草が、

妙にいらっとくる。


「楡さん、彼女をそうやってからかうのやめてやって」


「へえ……」


楡さんはにやりと笑って、

するりと彼女の肩に手をまわした。







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