ショコラノアール~運命の恋~
数日後、結婚相手の故郷に挨拶に行って来たのだと、

この間の彼女らと楽しそうに話していた幸せいっぱいの司書の先生。

谷川くんは見つめて大きなため息をついていた。


何となく気がついてしまった。


谷川くんは、先生が好きだったんだ。


私にくれていたと思っていた優しさは、

先生と二人の時間が欲しかったんだ。


私になどほんの少しも向けられてなどいなかった好意。


初めての恋は、ただの勘違いだったなんて

とんだ笑い話だ。



恋なんてしない方が楽だ。

私はこの時学習した。



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