あの夏のキミへ
「うわっ」

次第に木でできた古くて硬そうな床に向かって体が傾く。

やばい!と思ってギュッと目を閉じる。

しかし、体にくるはずの衝撃はいつまでたってもこない。

おかしいなと思って目を開けると、座席につかまって立っている連に腕をしっかりと掴まれていた。

そのままゆっくりと再び座席に座らせられる。

「光って、意外とおっちょこちょいなのな」

そう言って少しだけ笑った。

恥ずかしい…。

「あ、ありがとう…」

「ちゃんと止まってから降りようぜ」

「ん。」

窓を見れば、さっきまで蟻のように小さく見えていた駅は、いつの間にか何倍にも大きくなっていた。

しばらくすると、電車は再びプシューっと音を立てて止まった。

「降りるか」

乗った時と同じように連の後に続いて駅に降り立つ。

駅といっても人っ子一人いない。

夏休みにもかかわらず、ここで降りるのはわたしたちだけみたいだ。

電車はたちまち無人の駅にわたしたちを置いて走っていってしまった。
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