オレ様探偵とキケンな調査
正直な…気持ち…?


「もう過去の懺悔に縛られる必要もないでしょう。“今”を生きる、簡単なことです」


「“今”…」


「出過ぎた真似をすいません。これ以上、年寄りの説教につき合うのも時間の無駄です。社長、行ってあげてください」


「うん。オッサン、サンキュ」


オレはオッサンに別れを告げ、急いで椿が向かうであろう竹乃城由香のアパートへ向かった。


椿は。


鉢植えのすずらんを持ってアパートの前にいた。


今にも泣き出しそうな顔で俯いて。


オレもチャイムを押そうか迷ったが、合わせる顔もかけてやれる言葉も見つからない。


何本もタバコを吸ってはケータイ灰皿に吸い殻を押し込め、30分経った頃、アパートの部屋のドアが開いた。


そこから顔を出した椿と由香という女。


2人とも互いのわだかまりが消化されたのか、どちらも清々しく晴れやかな表情で別れを告げ、椿は前を向いて歩き出す。
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