オレ様探偵とキケンな調査
「帯金、さん…?」


「最後に」


「…え?」


「最後に“パパ”だ、って言えた」


「もしかして、今日…」


「あの病院の日が最後だと思ってた。だけど玲奈から連絡があって、もう一度亨に会ってくれないか、父親だと名乗ってはもらえないかと、電話があったんだ」


「…ハイ」


「こんなオレだけど、亨が可愛かった。愛していた、心から。そんな亨を抱き締めたかった。そして父親だ───と。言ってやりたかった」


「ハイ…」


「玲奈とあの男の前で“オレが亨の父親だ”と言った。そしたらさ、亨のヤツ…笑ったんだ。理解には難しいようだったが、“パパ”そう言って笑いやがった。最後にその笑顔と言葉をくれた亨にガラもなく泣いちまって、さ。手放した“亨”という存在の大きさに、改めて気付かされた」


「帯金さん…」


「だけど未練とかじゃねぇんだ。ただ幸せに、これからの未来をあの男と3人で、そう心から願えたよ」


「…っ…っ…うん…」


「オレ、亨の笑顔で何もかも吹っ切れた。もう一度やり直せるかも、って思えた」


「…っ…やり、直す…?」
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