オレ様探偵とキケンな調査
「帯金さん…」


「んぁ?」


「あたしに何かしたでしょ…?」


「着衣に乱れはあったか?」


「ナイ…ですけど…」


「ぬれぎぬだ」


どうやら、そのようです…。


でも…何でこんな深酒しちゃったかな…。


何かあったはず。


でも、その何かが思い出せない。


ダメだ。


無理に記憶を辿ろうとすればするほど、不快感だけがこみ上げてくる。


「酒臭せぇ」


帯金さんは心底嫌そうに眉をひそめて、窓全開。


「スイマセン…」


「謝るくらいなら飲むな」


「ハイ…」


あぁ…あたしってば何してるんだろ…。


イブの夜、探偵の仕事、どれをとっても最悪だ。


自己嫌悪に陥りながら窓の外の景色を見ることもできず、タクシーは帯金探偵社前の停車。
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