ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
驚きと羞恥で、もうとっくにゆのの涙は止まっていた。
「オズ・・・あの、そのっ・・・もう大丈夫だから!」
細い両手を突っ張って、オズヴェルドの胸をぐいぐい押す。
しかし、ゆのの細い腕でオズヴェルドが動くはずもない。
それでも抵抗を続けると、さらに強く抱きしめられた。
「んっ・・・オズ・・・ちょっと、苦しっ」
「あ、悪い・・・」
少し腕を緩めてくれたが、まだ離してくれない。
「オズ・・・?」
「・・・話したくないなら聞かない」
「え?」
「ユノが話したくないなら俺は聞かないから・・・。だから、1人で泣いたりしないでくれ・・・」
そう言うと、再び強く抱きしめられる。
さっきまで動揺していた気持ちも不思議と落ち着いている。
「オズ、ありがとう・・・」
いつか話せるときが来たら、ちゃんと話すから。
そのときは、聞いてね?
そんな想いを込めて抱きしめ返すと、さらに抱きしめられた。
もう、君を独りで泣かせたりしない。
オズヴェルドの心は定まりつつあった。