危険なアイツと同居生活





仕方なく、蒼の部屋を掃除する。

それでも、蒼の部屋にはあたしのファン心をくすぐるものがたくさんあった。




新曲らしき楽譜に見入っていたら、渋い顔をした蒼に取り上げられた。

ギターの弦を弾いてみたら、切れてしまった。

蒼が頬を膨らませていた。





「もう!

唯ちゃん、全然話にならないや」




終いには音を上げる蒼。




「掃除はおしまい。

唯ちゃんにもお礼しないといけないし」



「お礼?」




思わず聞くと、蒼はいつもの笑顔であたしを見た。




「うん。MVの一件の。

何か欲しいもの、ある?」





あたしは多くを望まない。

でも、願いを叶えてもらえるなら、この幸せが一生続きますように。

あたしがずっと、蒼の彼女でいれますように。





「唯ちゃん、教えてよぉ」




何も言わないあたしを見て、プーっと拗ねる蒼。





「欲しいのは……蒼かな」



「そっか」




蒼はそう言って、あたしの身体に手を回す。




「唯ちゃん、後悔しないでね?

……唯ちゃんが悪いんだよ?」







あたしは朝から蒼に狂わされる。




< 122 / 528 >

この作品をシェア

pagetop