新宿のデカ
「いや。会ったことはないんだけど、確か四課にいるマル暴だよね?」


「図星」


 そう言って、ビールのジョッキに口を付けながら、摘みの焼き鳥を摘まんだ。


 島田がまた口を開く。


「安原のヤツ、本庁内で幹部の人間しか知らない重大機密を知ってるとかって言ってたらしいな」
 

「それ、又聞き?」


「うん。俺も滅多に本庁に行くことがないから、署の暴力犯係のマル暴に聞いたよ。安原も大変だろうな。まだ若いけどね」


「組対は凄いからね。俺も思うんだ。昔、二課にいた時代、あの白亜の建物の中で働いてて、とにかく疲れてたよ」


「早く所轄生活抜けたいな。準キャリだと、仮に一時的に出世レースで負けたとしても、それ相応の立場が保障されるからね」


「そう……」


 改めて、島田の業の深さを思う。
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