新宿のデカ
第54章
     54
 金曜の勤務は午後九時過ぎに終わり、署を出て、新宿駅まで歩いていった。


 慢性的に疲れが溜まっている。


 所定の訓練を受け、鍛錬もしている刑事と言っても、心身の疲労には勝てないのだ。


 特にメンタル面でやられる。


 だが、一応、明日土曜は非番だ。


 自宅マンションでゆっくりするつもりでいた。


 休日は大抵、刑事モノのドラマを見るか、読書だ。


 ミステリーはリアリティーがあるものとないものとに分かれる。


 ドラマで見るにしても、小説で読むにしても、あまり深くは考え過ぎないのだが……。


 いつも思っていた。


 本職の警察官として、娯楽の意味で見たり、読んだりするのは楽しいと。


 金曜の午後十一時過ぎに眠り、翌日土曜は午前七時に目が覚めた。
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