新宿のデカ
第13章
     13
 六本木中央署に設置された帳場で、捜査会議が開かれたのは、土曜の午前中だった。


 殺害された大久保拓生に関して、警視庁から来た刑事に、所轄の捜査員が判明した事実を報告する。


 被害者は外出中に浅倉東から襲われたようだ。


 集まった刑事たちも皆、通り魔の犯行だと思っていた。


 大久保の着ていたスーツから、浅倉の指紋が検出されていて、被害者は被疑者と揉み合った後、殺害されたと考えられる。


 通常の刑事事件通り、所轄に捜査本部が設置され、そこで捜査会議が開かれた後、各々刑事たちが動く手はずだ。


 確かに殺人事件というのは、恐ろしい。


 俺も思っていた。


 警視庁所属の警察官も、ここ東京都内で発生する事件には敏感だと。


「トノさん」


「ああ。……どうした?」
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