愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『お邪魔します』

健吾さんと一緒に家に入った。
何か、自分の家じゃないみたいな感覚。

『じゃぁ、先生はここに座ってください』
『失礼します』

お母さんはダイニングテーブルの普段はリクが座る席に健吾さんを座らせる。

『もう少しで出来るので待っててくださいね』
『いや、本当にお構い無く…』
『先生、うちはね、ある意味遠慮がないんですよ。あ、申し遅れました。私、玲奈の母のユキコでございます』

お母さん、すっかりよそ行きな声と笑顔だ。

『玲奈さんの担任の、橋本健吾と申します。よろしくお願いします』

健吾さんはそう言うと立ってお辞儀をした。

『いいのいいの。座ってください。玲奈、アンタは着替えてらっしゃい』
「はぁい」

私は着替えるために自分の部屋に行った。
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