愛されることの奇跡、愛することの軌跡

『いい男じゃないの』

玄関のドアを閉めるなり、お母さんが言うと、

『健吾くんを信頼して、自分の道を決めなさい。お父さんもお母さんも玲奈の決めることは全力で応援する』
「ありがとう。私、頑張るから」

お父さんの言葉で改めて、決意する私だった。

それからと言うもの、私はまた、勉強の鬼になった。
あれから、健吾さんに"2者面談はやる必要なし"と言われて、私だけやらなかった。

そして4月下旬、ゴールデンウィークは1日10時間やろう。家で勉強したり、近くの図書館に行ったりして…なんて計画していた。

健吾さんからもこまめにメールや電話でやりとりしていた。

健吾さんは休みの日、何してるのか聞いてみたんだけど

"成瀬川家の次男としての宿命でね、なぁんも面白くないよ"

と、具体的には教えてくれなかった。