愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『金澤、君を指名する』

みんなが一斉に私を見た。

「わ、私、ですか?」

何で、私?

私は学級委員なんてやりたくなくて、なるべく目立たないようにしていたんだけど…
それでも評定平均や内申書の点数を上げたくて先生たちにはこれまでも媚び売っていい子にしてたけどね。

私は驚いてそれ以上声も出なかったが…

『さ、始業式の時間だ。体育館に向かってください』

その言葉を言い残し、先生は教室から出ていった。

先生が教室を出た後、ユウコちゃんに思いっきり睨まれた。

気が強いんだよなぁ。

私も弱くはないけど、大きな瞳に高い鼻のいわゆる美人顔に睨まれると、負けそうになるので、その睨みに対して目を逸らした。

『大丈夫?玲奈。驚いたでしょ』
「驚くも何も、何で私なのか説明もないのかなぁ」

体育館までの道のりを、美郷と歩きながら私は憂鬱だった。

あの時の"健吾さん"とは違う人格なんだ

私は自分に言い聞かせた。

今日は厄日だ。
心底そう思った。

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