愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『長野県だよ。安曇野』


「へぇ、結構遠そうだね」


『とりあえずそれを伝えにきたの。でも、本当はね…』


健吾さんは立ち上がって片付けをしていた私を壁に寄りかからせて、腰に手を添えて私の唇にキスをした。


そう"大人のキス"で。


『玲奈不足。もうどうしようもなく足りないの』


甘い声の健吾さんは再び唇を、さっきよりも深く重ねてきた。


また、私のお腹はキューンとして、耐えるのがツラいと思うくらい切なくなった。


『また、お腹キューンってなったのか?』


私は頷いた。


『今度、そのキューンから、俺が解放させてやるから』


そう言って健吾さんはニコニコ笑って私を見つめた。


え?


どうやって?


これも"大人にしてもらえる"一歩なんだろうか。


恋愛スキルのまるでない私には、全く想像が出来なかった。

< 232 / 548 >

この作品をシェア

pagetop