愛されることの奇跡、愛することの軌跡
健吾がウィンドウを下げる。


『健吾様、お待ちしておりました』


『斉木(サイキ)、出迎える必要なかったのに。でもせっかくだから助手席側のドアを開けて、彼女を下ろしてあげて』


『かしこまりました』


斉木さんは、助手席に回ると、ドアを開けて、私を車から下ろしてくれた。


健吾は、それを見届けると、車を奥へと入れた。


『私、社長の秘書をしております、斉木と申します。以後、お見知り置きを』


「はじめまして。金澤玲奈と申します」


健吾が車庫入れしていた僅かの間のやり取り。


斉木さん、歳は…50いかないかなぁ?っていう、いかにも出来る感じの秘書だ。


『お待たせ。行こう、玲奈』


『申し訳ございません、社長なんですが、今ちょっと他の方と話しておられまして、今、予定時刻は迎えたのですが、終わり次第と言うことでお願いします』

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