愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『今のお母さんの行動を見て、どう思った?』


健吾が助け船を出す。


『恥知らずだと、思いました』


みんなの視線が冷たいせいか、ユウコちゃんは、弱気だ。


『それだと、この言葉の意味を答えた上杉のそれを、なぞっただけだよな』


窓の方向を見ながら話していた健吾は、ユウコちゃんに目線を向けた。


『自分の言葉で言わないと、周りの冷たい視線はなくならないぞ』


ユウコちゃん、何を言うだろう。


『私は、先日の登校日に橋本先生から、星恵大の推薦は出せないと学校側の決定が下されたことを聞きました。先生には、センター試験から自力で頑張れと言われましたが、両親に報告したら、激怒されました。学校側の対応に、納得できないと』


一度間があいたけど、健吾も次の言葉を待っている様子。


『説明を求めようと母は息巻いていましたが、父がそれには消極的だったことに母はさらに怒り出し、大喧嘩になったのです。それでそのままの感情で今のあのような姿になってしまいました。ご迷惑をお掛けしました』


ユウコちゃんは頭を下げた。
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