愛されることの奇跡、愛することの軌跡
*卒業式
3月。


卒業式。


仕方ないけど、入試の合否が分かる前に卒業式を迎えてしまう。


合格発表は明後日。


受かろうが落ちようが、私はナルガクを卒業する。


健吾を通じて学校から卒業生代表で答辞を述べる役割を打診されたが、まだ合否が出ていないのと、私自身が中等部からの編入組であることを理由に辞退した。


式に向かう前に一度健吾が教室に来た。


いつも通りのスーツのはずなのに、いつもよりオシャレだった。


スーツは縦のストライプが入った濃紺のもの。


白いポケットチーフに、光沢のあるシルバーのネクタイ。


髪は少しサイドを整髪料で上げている。


『みんなの門出を、この目でしっかりと見届けたい』


そう言って全員を体育館へ送り出した。
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