愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『金澤、少しだけ時間あるか?』

エレベーターは地下1階に着き、車に向かう間に聞いてきた。

時刻は夜の9時少し前。

「はい、少しなら」
『そんなに時間は取らせない。テツの家と君の家が凄く近くて、ふたりで話すチャンスがないなと思ってさ』

確かに。
テッちゃんのお家とうちは歩いて10分くらい。

だから先生は車を近くの公園の駐車場に停めた。

『…何を話せばいいんだろうな』

先生は少しうつむき加減で少しかすれた声でそう言った。
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