“君”という希望に縋らせて.
うるさい人たちは嫌い。

自分が可愛いみたいに、他人の悪口ばっか言って笑ってる奴は嫌い。

何をカッコつけてるか知らないけど、学校を堂々とサボって遊びに呆ける奴も。

こいつらは私の嫌いな奴の項目に、全部当てはまってる。

だから、嫌い。こいつらのことが、大嫌い。

じゃあ、何でこんなギャル達のグループに入ってるかって?

そんなの決まってる。それが一番楽だから。

勝手に私の話しをしているギャルたちの会話を右から左の聞き流し、私は瞳を閉じるとゆっくりと息をつく。




「……私は、弱いから」




ポツリと呟かれた呟きは、騒がしい会話の並に飲まれて消えて行く。

ゆっくりと瞳を開けて楽しそうにおしゃべりする彼女たちを一瞥して、スッと視線をそらす。

こんなに強がったことを言っているけど、私は弱いから。

“一番強いグループ”に入って自分を守ることしかできないの。

だから私は、自分のことも大嫌い。

だって、そうでしょう?

内心ではこうやってこの子たちの悪口ばっか言ってるくせに、自分だってそんなに変わらないことをやってる。

彼女たちのことももちろん嫌いだけど、それ以上に。

私は自分のことが大嫌い。




「一花……? どうしたの? 大丈夫?」

「ん。へーき」

「元気出せー。一花!」

「……ん」




私が、内心で何を言っているか知らないで話しかけてくれる彼女たち。

……きっと私が、ただの地味子だったなら私にこんなことも言わないはずだ。











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