君の居場所



『ちょっ、何で切るんだよっ』



もちろん、この焦った声も、電話越しには届かない。



数十分経っただろうか。


ピーンポーン


この音と共に、ボーっとしていた頭に意識が戻った。



『なっ、いつの間に!?』


ガチャ



『おっじゃまっしまーす!』



・・・。

俺はいつも戸締りはしっかりする方だったんだけど、

電話で聞いた声の人が入ってきたんだ。



『さすがにてこずったよ。

なんたって、通(とおる)の家だもんなぁ。』



何にてこずったのか、あえて聞かないでいた。

それよりも、



『父さんのなまえ、知ってんの・・・?』



って思ったんだ。



『あ?たりめーだろ。

通は俺に道をくれたんだからな。

通が居なきゃ、今頃俺は死んでたなっ』



そう言って笑えるこの人はすごいな、と思う。

でも、



『だれなんですか?』



聞いてなかったことが1つあった。



『ああ、言ってなかったな!

俺は・・・






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