空の誓い、海との約束
 このままでいいのか?

 答えるはずの無い彼に問う。

 本当に、伝えないままでいいのか?

 陛下は穏やかな笑みを浮かべて僕を見ている。心臓が早鐘を打つ。

 僕は、どうしたらいい。

「畏れながら、陛下にお伝えしたい事がございます」

「どうぞお話しください」

 恭しく一礼した後は台詞の暗誦だ。そう、台詞の……。

「女王陛下、私は――」

 エミリア様を見つめたまま、僕はそれ以上言葉を継げずに固まった。

『誰よりも、貴女を愛しております』

 何度も暗誦し、完全暗記していたその台詞を、僕は口に出来なかった。

 それは偽りだから。僕以上に陛下を愛した男性が、確かに居るから。

「私、は……」

 先に進まない台詞に、ひそひそと囁く声がさざ波のように広がった。陛下もダグラスも一体どうしたのだろうと僕を見つめている。

 僕は口を結んで俯いた。


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