空の誓い、海との約束
「嫌だって、チビだし似合わないから!」

 晩餐会と後に控える舞踏会の為、燕尾服を着せられた僕は頭を抑えて逃げ回った。

「駄目です! 他の殿方達に引けを取らぬよう少しでも大人に見えるようにせねば、折角の御衣装が泣きます」

「泣かせとけばいいよ、そんなの!」

 付き人が櫛を持って追いかけてくる。結局指南役に捕まり椅子に押さえつけられた挙句、髪にオイルを塗られてかっちりと前髪を上げさせられた。

「この方が断然大人に見えますよ、シエル様」

「うわー、カッコ悪い」

 鏡の中の自分を眺めて僕はげんなりした。どう見たって大人の真似をしたがる子どもって感じだ。余計ガキっぽく見える。

 女王陛下に何て思われるだろう――そんな思いが過ぎり、鼓動がまた早くなった。

「ささ、どうぞ頑張っていらしてください」

「良い報告をお待ちしておりますよ、シエル様」

 ごめん、頑張る以前に終わっちゃったんだよ。この見合い。

 テンションガタ落ちの僕を意気揚々と送り出す二人に心の中で謝りつつ、ジョイの案内で僕は晩餐会会場に向かった。


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