空の誓い、海との約束
それからというもの、私は外出せずに猛勉強を続けた。ダリアおばさんには、本国の大学に行きたいからと説明し、お茶の誘いも断った。
『困っている人を一人でも少なくする』
リフとの約束を守るために、私に何が為せるのか。何を為すべきなのか。
切ない想いを振り切るため、その事にだけ意識を集中した。毎日、ダグラスがたじろぐほど質問攻めにした。マリーが心配するほど根をつめて学んだ。
リフの態度は全く変わらなかった。会話が減っても、一緒に出かける事が無くても、私の接し方がよそよそしい物になっても、今までと同じ笑顔で居てくれた。
その事にほっとする反面、どこか切なかった。一人、叶わぬ想いに涙する夜もあった。
一年に一度だけ、ダグラスにお願いしてリフと出かけさせてもらった。開港記念日の一日だけ、私は“エマ”に戻った。
ダリアおばさんと立ち話をし、タイガおじさんの船に乗って思い切りはしゃいだ。人混みの中、リフと二人で露店をまわった。
「エマ、そんなに綿飴が気に入ったんだ?」
本当に、呆れるくらい、リフは中と外の切り替えが上手だった。切なくなるより笑えてしまった。
「幾つになったって、美味しいものは美味しいの」
澄まして答えれば、リフが声を立てて笑う。そんな何気ないひと時がたまらなく幸せに感じた。