とろける恋のヴィブラート
「それではお集まりの皆様、次の曲目ですが――」


 先程まで鮮明に聞こえていた司会の声が、耳の奥でこもったようにしか聞こえない。まるで手を洗ったあとのように、気づけば手のひらにびっしょり汗をかいていた。


(どうしよう……緊張する)


 ――君は才能があるのに、演奏家としては致命的な欠点を持っているね……残念だよ。
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