とろける恋のヴィブラート
(御堂さん……ありがとうございます)


「あ、青山さん!」


 心の中でそっとお礼を呟いて頬を綻ばせたその時、ウェディングドレス姿の杏子がノックもなしに入ってきた。


「一言お礼が言いたくて、式が始まる前に来ちゃった。余興のステージも私好みで、ものすごく楽しみ!」


「杏子さん、この度はおめでとうございます」


(すごく綺麗……杏子さん、キツイ性格だけど美人なのは間違いないもんね)


 喋らなければ絵に書いたような花嫁姿に、奏はうっとりと目を細めた。


「ねぇねぇ、ずっと聞きたかったんだけど……あなた、もしかして御堂さんの彼女なの?」


「へ?」


 突然、突拍子もない質問に奏は油断した声を出して驚いた。
< 364 / 458 >

この作品をシェア

pagetop