ブラックレター~高嶺の花に恋します~




「どうか今回も無事に届きますように…!」




そう心から願いを込めポストの前で一礼する。

カタン、と投函口に吸い込まれていく黒い封筒。


それを最後まで見送りながら両手を合わせ深くお辞儀しながら頼み込むのは、手紙を出すときの私の恒例行事となっていた。


別にこれによって何かが変わるというわけではないのだが。

ようは気持ちの問題である。

何となく、ちゃんと届いてくれるような気がする。それだけだ。


本当に本人に届いているのかはわからないけれど。

届いていたらいいなと思う。




「真麻、終わったー?」


「終わったー」




少し離れていたところで待っていた絢子に駆け寄り、無事投函できたことを報告する。

これも一年間変わらず続いていることでもあった。




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