ブラックレター~高嶺の花に恋します~
だらだらと楽屋にいるべきじゃなかったと後悔している。
「…何でお前が知ってるんだよ」
唸るような低い声が喉の奥から勝手に込み上げて。
その声にビクリと神崎が肩を揺らした。
だが宮部は顔色一つ変えていない。
何でこの男が今しがた俺の手元に届いたブラックレターのことを知ってるんだ。
そんな思いを込めて宮部を睨めば、やつはこれっぽっちも気にしていないといった態度で俺の方に近寄ってくる。
そしてニヤニヤと楽しげに口を歪めた。
あぁ。嫌な予感しかしない。
「さっきうちのマネージャーから聞いたんだよ。会社中の噂だよ?二通目が来たって。どんなのどんなの?一回くらい見せろよー!」
「見せるか、バカ」