オオカミが来た!
オオカミが来た

「ずっと、好きだった」



力任せに言い放った。



よほど驚いたのか、貴一(きいち)は目を開いて無表情のまま。かっちんこっちんに固まって、しばらく動きそうにもない。視線は私を捉えているけれど、本当に見えているのか怪しい。



ぽかんと開けた口から、吐いた息とともに声が漏れて出てきた。



「え? 美咲? え……っと?」



何度も言わせないでよ!
飲み込みが悪いんだから……



「だから! 好きだったんだってば、ずっと前から」



さっきよりも声を張り上げた。



貴一の顔が、みるみる赤く染まっていく。恥ずかしそうに目を泳がせて、口をぱくぱくさせて。酸素が足りない金魚みたい。



こんな貴一の顔、初めて見たかも。
いつも強引で上から目線で、エラそうなのに笑える。




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