お向かいさんに恋をして
私がしたくてしたことだし、別にいいよって断ったんだけど、きなこちゃんは折れなかった。「私の気がおさまらない。さくらちゃんの好きなもの、何でも言って!」とか何とか。

なので有り難く奢ってもらうことにして、このお店に来たわけだけど……。

「まさかの安達くんだぁ」

ここで会うとは思っていなかった私からつい漏れた一言。

きなこちゃんも隣で驚いた表情を浮かべている。

「まさかってどう言う意味? 
……まぁ良いけど。じゃ、席に案内するな」

安達くんについて歩く。

今日の彼は、明るい茶髪をセットしてカッターシャツを着こなし、腰に黒いエプロンを巻いている。

チャラさなんか微塵もない、真面目な店員さんって感じ。
イタリアンレストランの店員さんというか、バーテンダーみたいな?
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