運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~

この愛は、誰であろうと



【優姫】


9月。

今日から新学期。

「おはよ、優姫」

「あっ、樹里。おはよ…」

「って、そんなにぐったりして、どうしたの?」

「どうもこうもないよ。枢が…」

私は小声で樹里に言う。


…あの『勉強合宿』後、2人でいろいろな所にデートに行った。

もちろん、凄く嬉しかった。

けど…けどね!枢。

あんなに、ほぼ毎晩私を求めなくても…しかもあんなに激しいなんて。

それを思い出しただけで、顔がゆでダコだ。


「…なにそれ。ノロケ?」

「ち、違うもん!」

「はいはい、照れないの。…でも、あんたの”彼”も合宿の時の事があるから心配してるのよ」

「うん…」

実際に枢には、「仁田とは2人になるなよ」と言われた。

陸とはあれ以来、話をしてない。


…やっぱり、ちゃんとダメだよね。

そんな事を考えていると、ドアが開いて陸が教室に入って来た。

私と目が合うと、すぐに目線を逸らされてそのまま自分の席に着いてしまった。


…陸。


―――ガラガラ。

それと同時にドアが開いて、今度は枢が教室に入って来た。

「おはよ、今日から新しい先生を紹介する。…幸野(こうの)先生」

「今日から産休の加野先生の代わりに、みなさんの国語と副担任を受け持つことになりました。幸野瑠佳(るか)です」

幸野先生は枢と同じくらいで背も高く、ベージュロングヘア系でパーマをかけている。

女子の私でも、見とれてしまうくらいの大人の女性だ。

もちろん、男子も歓声を上げた。

「幸野先生って、超美人じゃん」

「…そうだね」

その後、LHRして放課後になった。


「優姫~!」

「おい、樹里。そんなに引っ張るなって!」

「うるさいわね!あんたが優姫を避けてるからでしょ!?」

「樹里、陸…」

「よう…」

「ちゃんと話したいだろうと思って、無理矢理連れて来た」

「…でも、私これから…」

「ああ、知ってるよ。提携をしてるお菓子会社からのお菓子を悠君たちの会社で、最終的な商品の試食をするんでしょ?」

「えっ、そうだけど…どうして知ってるの?それに”悠君”って…」

「悠君とメール友になったんだよ♪」


…いつのまに!?


「それで、私も試食に誘われてるの」

「おい、さっきから『会社』とかどういう…」

「来ればわかるって!全部説明するから」

そう言って、樹里は陸を引っ張り前に歩いて行く。

私はそんな2人を追いかけて、会社に向った。


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